『施設がそんなにダメですか?』かまタク

皆さん、”かまタク”さんって知っていますか

ご自身でも公表されていますが
ゲイであることをオープンにされ
新宿のバーで働きながら
SNSでもすごく人気のある方です

そのかまタクさんが書かれた
『施設がそんなにダメですか?
~認知症になった祖母の地獄の在宅介護~』
という本があります

今回は、この本についてお話をしたいと思います

かまタクさんが介護をしていたなんて知らなかった

私は介護を専門にしていて
今も現役でケアマネジャーをやっています

これまで20年
在宅介護の支援者という立場で
いろいろなご家族の介護を見てきました

そして今
いよいよ私自身も父の介護が始まるのかなという
年齢になってきたんですよね

そんな中で、”かまタク”さんの本を手に取りました

もともと私、かまタクさん好きだったんですよね

一度SNSで見ていただくと分かるんですけれども
本当に頭もいいし、面白い人です♡

一ファンとしてカマたくさんを
SNSを見ていたんだけども

かまタクさんが介護をしていたなんてこと
私は知らなかったんです

「あ、この人、介護やってたんだ。」

「本も出されてるんだ。」

ということで、本を買って読んだ
実はそういう順番だったんですよね

「無理せずSOSを出せ」「手遅れになる前に動け」

いろいろな介護に関する本がありますけれども
かまタクさんが書かれた本だからこそ

「あ、こういう捉え方っていうのも面白いな」

と思いながら読みました

この本の中で一貫してかまタクさんが言っているのが

「無理せずSOSを出せ」

そしてもう一つが

「手遅れになる前に動け」

ということです

これって、私が産業ケアマネとして企業に伺い
従業員の皆さんにお話をする時にも
ベースとしてお伝えしていることなんですよね

従業員さん達に対しては

「無理せずSOSを出してください」
だけではなくて

・どこにSOSを出したらいいのか

・どんなふうに伝えたらいいのか

・相談することで、どんな効果が期待できるのか

・仕事をしながら介護を続けていくためには
どうしたらいいのか

そういうことを具体的にお話ししています

かまタクさんも
言っていることの根っこは同じなんですよね

同じことを言っているんだけれども

「ああ、こういう伝え方もあるんだな」
と思いながら読みました

大好きなおばあちゃんとの介護生活

かまタクさんが介護をしたのは
ご自身の母方のおばあちゃんです

福島に住んでいた
とてもアクティブなおばあちゃんだったそうです

車に乗っていろいろなところへ
出かけていたんですが
おじいさんが亡くなった事
90歳で車の運転をやめた事
コロナで行き来ができなくなった事

アクティブな方でしたが
様々な要因が重なり認知症が始まったそうです

「もう一人暮らしは難しいね」と家族で話し合い
東京におばあちゃんを引き取り
カマたくさんのお母さんと一緒に
3人でマンションで暮らすことになります

でも、しばらく一緒に生活する中で

「もう無理だ。」
最終的には施設にお願いすることとなりますが

その過程が、この本には書かれています

介護に関するエピソードも
非常に面白いんですけれども
私がこの本の中で一番心に残ったのは
実は介護が始まるずっと前のお話でした

小学生のかまタクさんに、おばあちゃんが伝えた言葉

かまタクさんがまだ小学生だった頃
おばあちゃんと二人で車に乗っていた時の会話です

当時、かまタクさんは小学生ながら
自分のセクシャリティについて理解をしていたそうですが
自分のセクシュアリティについて
おばあちゃんに話したことはなかったそうです

そんな小学生のかまタクさんが、おばあちゃんに

「将来、結婚はしたくない」
と話したそうです

それに対して、おばあちゃんが返した言葉が
私はすごく印象に残りました

「人間は生まれる時も死ぬ時も一人で
結婚しても、子どもや孫が生まれても、結局は一人

一人ではないように見せるのが
上手な人がいるだけで
本当はみんな一人なんだ。」

そんなことをおばあちゃんは伝えたそうです

小学生に話すにしては
かなりシビアな内容ですよね

でも、おばあちゃんは小学生だったかまタクさんを
一人の人間として
見ていたんじゃないかなと思うんです

おばあちゃん自身もカマたくさんの
”何か”に気づいていたのかもしれません

おばあちゃんが元気な頃は
おばあちゃんと一緒に
近所の農家で野菜の袋詰めアルバイトをしたり

共に過ごす時間の中で
おばあちゃんと孫しか分からない絆があり
大好きなおばあちゃんだったと思うのです

だからこそ、東京に引き取ってまで
介護をしようと思ったんですよね

大好きな家族でも、介護はきれいごとではできない

でも、そんなかまタクさんでさえ
この本の中で介護は「地獄」だったと書いています

大好きなおばあちゃんを
心の中ではもう「殺した」と
思わなければ介護できなかった時もあったと

そんなカタたくさんの壮絶な思いも書かれています
(しかし、そんなエピソードも
ゲラゲラ笑いながら読める本です
面白いですよ)

私は介護が必要になった時って
自分の価値観や
これまで歩んできた人生が
本当にまざまざと突きつけられるものだと感じます

そして介護をする親の人生や価値観

親と自分とのこれまでの関係性

そういうものまで全部出てくるんですよね

私は専門家として
産業ケアマネとして
いつも偉そうなことを言っていますけれども

でも、自分が自分の家族を介護するとなった時には
やっぱり割り切れない思いが出てきます

だから腹も立つし
つらいなと思うこともある

でも、自分の心のどこかに

「やっぱり面倒を見たい」

「介護したい」

という何かがあるから
介護をするんだと思うんですよね

もちろん、これは
「家族なんだから介護してくださいよ」
ということを言っている訳ではないです

「介護する」にも「介護しない」にも覚悟がいる

かまタクさんも、この本の中で書いていました

介護をすると決めるにしても
介護をしないと決めるにしても
”覚悟”が必要だよね、と

自分以外の外野はいろいろなことを言ってきます

でも
「うるせえ」でいいんですよね

ありがたいアドバイスだと思って聞き流して
「でも、あなたは介護しないでしょう」って

結局、決めるのは自分なんですよね
自分で決めて、覚悟を決める

そして大事なのは
そこから行動することだと思います
心の中で決めているだけでは、何も変わりません

とにかく動く
そして分からなければ、SOSを出す

そうしないと状況は何も変わらないんですよね

「助けて」と言えること、頼れる場所を複数持つこと

「助けて」と言えることって、本当に大事です

そして、なるべく多くの依存先を持っておくこと

頼れるところ、相談できるところを
一つだけではなく
なるべく複数持っておく

これは人生においても大切なことだと思いますし
特に介護ではとても大事なことだと思っています

私は産業ケアマネとして
いつもこういうお話をしていますが

今回、かまタクさんの本を読んで
同じことがかまタクさんの言葉で
とてもシンプルに書いてくれていました

歯に衣着せぬ言葉で
時には笑ってしまうような表現もありながら
その根底にはずっと
おばあちゃんへの愛情が流れている

そんな、とてもあたたかい本でした

そして、今介護をしている皆さんへの
愛のメッセージも
たくさん詰まっている本だと思います

介護をしている人にも、これからという人にも

私は10年以上ケアマネジャーをやっていて
介護の世界には20年以上います

いろいろなご家族の介護を見てきましたし
支援者という立場で
その介護をご支援してきた経験もあります

そして今は産業ケアマネとして
企業で働く従業員の皆さんに

親御さんの介護をしながら
自分自身の生活や暮らしを守ること

そして仕事を辞めずに
介護と両立していく方法をお伝えしています

そんな支援者として読んでも
とても勉強になる本でした

大好きな家族だからこそ
たとえ「大好き」という関係ではなかったとしても
どうでもいい他人ではないからこそ

介護が始まった時に
介護する側はいろいろなことを
感じるんだと思います

介護をするのか
しないのか

どこまで自分がやるのか
どこから誰かに頼るのか

正解は一つではありません

でも、決めたら動くこと
分からなければSOSを出すこと
そして、一人だけで抱えないこと

これから介護が始まるかもしれない方にも
今まさに介護をしている方にも
ぜひ読んでいただきたい本でした

介護の本としてだけではなく
純粋に読み物としても非常に面白い本でした
声を出して笑いながら読みました

今回は、かまタクさんの
『施設がそんなにダメですか?
~認知症になった祖母の地獄の在宅介護~』
を読んで、私なりに感じたこと
そして一番心に残ったことについてお話をしました