弔 辞

一燈照隅万燈照国
(いっとうしょうぐうばんとうしょうこう)

中国の古い言葉です

一人が持つ松明の明かりだけでは隅を照らすことしかできない
しかし国中の人が松明を手にかかげた時
国中を照らすことができると言う意味です



宮﨑さん あなたに出会う前
8年前の私は愛知の地方の片隅で暮らす
主婦ケアマネでした



ケアマネジャーを紡ぐ会の活動
あなたが提唱する
ケアマネジャーの心と体を軽くする
業務効率化セミナーを受講したことがきっかけでした



それから 今までたくさんのことがありましたね



ある日 あなたは言いました


「前田さん あのな
糸ってのはな繊維を紡がなきゃ糸になんねえんだよ
俺たち介護職ってのはな
その糸にすらなってねえんだよ

こんなに介護職ってすごい仕事なのに
ケアマネジャーって優秀なのに
どうしてこんなに待遇悪いか分かる?

俺たち介護職が声を上げないからなんだよ
俺たち介護職が手を繋いで糸になり
糸を織り上げて布にしなきゃいけねえんだよ。」



これが
ケアマネジャーを紡ぐ会の名前の由来です



政治とは無縁だった私の前に
議員という道があることを教えてくれました
令和2年10月岡崎会議員選挙の3週間前です


投票日の3週間前に立候補を決めた私を
多くの仲間を巻き込んで見事当選させました



田舎の主婦ケアマネが
ある日突然
岡崎市議会議員です



私の選挙をきっかけに
介護職をやりながら議員をやっている人間がいることを知ったあなたは
全国の介護職議員5人で本を出版しました


令和3年10月
「介護職よ!地方議員を目指せ」


全国の新聞記事に取り上げられて
それを読んだ全国の介護職議員から連絡がありました



そして令和4年4月
全国の超党派議員連盟である
「政治と介護を紡ぐ会」を発足しました




あなたは留まることを知らない勢いで
自分の頭の中のイメージを具現化していきました


日本の介護職を舐めんじゃねぇ
介護職の地位向上をしなければ
日本の介護は終わってしまう
だから 介護の世界から政治家をどんどん輩出するんだ




一燈照隅万燈照国



あなたはそれぞれの心の中にある
小さな炎を見つける名人です



全国の介護職の心の炎を大きくしました
中には議員として
我々介護職の代弁者となる存在を作りました



日本の介護が良くなるように
介護職が自分の仕事を
精神的にも経済的にも
誇れる仕事と胸を張って言えるように



私たちの心の炎をたいまつに替えて
国中の介護職が手に松明の燈を掲げて
やがて国中を照らし国を変えていくことで
介護職が自分達で自分達の地位向上をしなければいけない
そう教えてくれました



あなたがことあるごとに言った
一燈照隅万燈照国
残された私たちは
この思いをしっかりと繋いでいく存在になります




宮﨑さん
あなたほど心の広い人を私は知りません

あなたほど戦う勇気がある人を私は知りません

そしてあなたは
戦った相手の心の痛みまで感じてしまう
心の優しい人でもありました



今日は5月にしてはとても暑い日でした
これから夏が来て 秋が来て 冬が来て また春が来ます
季節は巡りますが
どこにもあなたはいません



そのことがただ寂しいのです



今日ここに集えた人たち
ここには来れなくても たくさんの人から
あなたへのメッセージ 想いが届けられました



たくさんの人に愛情を傾けたあなたを
私たちはたくさんの愛の力で見送ろうを思います



日本の介護は明るい
あなたに心の炎を大きくされた私たちで
この国の未来を照らします


きっと見ていてください




令和6年5月4日
ケアマネジャーを紡ぐ会
岡崎市議会議員    前田麗子