『棺桶まで歩こう』萬田緑平著
今回は、ある本を読んで感じたことについて
お話をしたいと思います
その本は、『棺桶まで歩こう』
このタイトル、なかなか衝撃的ですよね
著者の萬田緑平先生は
在宅医療の現場で2000人以上の看取りに
関わってこられた先生です
もともとは大学病院で
手術や抗がん剤治療など最先端医療に
携わっていた方なんですが
患者さんにとって本当に幸せな医療とは何なのか
ということに
疑問を持たれるようになったそうです
まだ「余命告知」すら一般的ではなかった時代から
患者さん本人にきちんと向き合ってこられた先生で
その後、在宅緩和ケアの道へ進まれました
この本には、そんな先生が
たくさんの人生の最期に立ち会ってきた中で
感じたことや、在宅で最期を迎えることの意味が
たくさんの事例とともに書かれています

人は、どう最期を迎えたいのか
この本には
いろんな方の人生の最期が描かれています
40代で独身だった方が
最期、亡くなる前に
「ありがとう」で不仲だった家族がまとまった話
癌で余命宣告を受けた
4歳の男の子が
小さな体であたかも大人のように
家族一人ずつに「ありがとう」を伝えて旅立った話
「水は飲めないけど、ビールなら飲める」
という患者さんに対して
先生が状態を見ながら
少しずつ好きなお酒を楽しめるよう支えたことで
余命わずかと言われながら
ご自宅で一年以上生きることができた話
どれも、「ただ生きる」ではなく
その人らしく生ききるとはどういうことなのかを
考えさせられる内容でした
私自身、介護の仕事を20年
ケアマネージャーとしても10年以上
たくさんの方の人生の最期に
関わらせていただいてきました
医療職ではないので
臨終の瞬間に立ち会うことは多くありません
でも、亡くなられる前後に関わることは
たくさんあります
一般の仕事より人の死に触れる仕事だと思います
だからこそ、この本を読んで改めて
自分はどう最期を迎えたいかなって考えたんですよね
「死ぬ」って、どういうことなんだろう
この本を読んでいて、私はふと考えたんです
死ぬって、どういうことなんだろうって
”永眠”という言葉ありますが
今日という一日が終わって、眠って
朝が来きたら目が覚める
当たり前のことですが
それが生きていることであると言うならば
死ぬということは
眠った後、その次の朝
目が覚めない状態
だから永遠に眠ること書くのだな、と
眠ることと死ぬこと
私は、死ぬことで人間が
全て終わりだとは思っていなくて
死で今回の人生は終わるが
時を経てまた目が覚める=生まれ変わる
こともあるんじゃないかなと思っている派です
毎日眠る時って
寝た後自分は今どこで寝ているなんて自覚はなくて
ただ夢を見ている状態になる
永遠に眠るのか
一晩だけ眠るのか
どこで死ぬかとか
誰に囲まれて死ぬかっていう「環境」も
もちろん大事なんだけど
それ以上に大切なのは
最期の瞬間、自分の心が
どんな状態であるかなんじゃないかなって
私はどんな死を迎えたいかと考えた時
目を閉じた自分の魂がこの世から離れる時
自分の想念のなかで
「ああ、今回の人生楽しかったな」
って思えたらいいなと思えたらいいな。と
自分だけしか知らない
誰にも話していなかった事を
こっそり思い出してもいいし
嬉しかったこととか
人生の中で出会えた人たちとかを思い出してもいいし
そんなことを心の引き出しからこっそり取り出しながら
笑顔でにんまりしながらこの世を去れたら
きっと幸せだろうなって
だからこそ、幸せな思い出を思い出せるためにも
今この瞬間をちゃんと生きることが
大事なんだろうなって思いました
「歩ける」ということの尊厳
この本のタイトルにもなっている
「棺桶まで歩こう」
萬田先生は本の中で
「歩くこと」の大切さについても書かれています
介護の現場では、転ばないように、危なくないようにと
つい「歩かせない支援」になってしまうことがあります
でも、本当は最後まで
自分の足でトイレへ行けることって
ものすごく尊厳に関わることなんですよね
実は、私が介護の資格を取る時に
「おむつ実習」というものがありました
実際におむつを履いて
その中で排泄をしてください、という宿題です
宿題を私もやりました・・・実際は
オムツの中で排泄をすることを
家族には知られたくなくて
こっそり別の部屋へ行ってやってみた
だけど、やっぱり出なかった
出そうと思っても、出ないことに驚きました
それくらい、人がおむつの中で排泄するというのは
本来すごくハードルの高いことなんです
やっぱりおむつって
つけたくてつけている人なんていないんですよね
だからこそ、最後まで歩けること
自分でトイレへ行けることって
本当に大事なんだなと思います
萬田先生は
「歩けなくなるのは筋力ではなく気力だ」
とも書かれていて、すごく印象に残りました
だからこそ私も
筋肉と仲良くしておこうと思いましたし
できるだけ元気に歩き続けたいなと思いました
そしてケアマネージャーとしても
「その人らしく生きる」を支えるって
どういうことなのか、改めて考えさせられました
死を考えることは、生を考えること
萬田先生は、本の最後でこんなことを書かれています
人は必ず死ぬのに
死について話すことはタブー視されている
だからもっと
死について話した方がいいんじゃないかと
昔の日本では、人が家で亡くなることは当たり前でした
死は、もっと日常の延長線上にあったんですよね
病院で苦しみながら亡くなる姿だけを見ていると
子どもたちにとって死は「怖いもの」になってしまう
でも、自宅で穏やかに
「ありがとう」「いい人生だったよ」と言いながら
最期を迎える姿を見れば
死はそこまで恐ろしいものではなくなるかもしれない
そんな先生の言葉もとても印象に残っています
しかし、自宅で亡くなることは
介護職だけでは支えられません
理解のある在宅医の存在があってこそ叶うものです
だからこそ、こういう先生に出会えることって
本当に大切なんだろうなと思います
岡崎にも
たくさんの在宅診療をしてくださる先生はいますし
全国的にも増えてきていると思います
もし興味がある方は
ぜひこの本を読んでみてください
そして、自分はどう生きたいのか
どう最期を迎えたいのか
そんなことを、一度ゆっくり考えてみる
きっかけにしていただけたらいいなと思います
最後までどう生きるかを考えることは
今をどう生きるかを考えることなんだと思います
死を遠ざけるのではなく
自分の人生と丁寧に向き合うこと
そんな大切なことを
この本は静かに教えてくれる気がしました



