脳卒中障害者の生きがいづくり  ドリーム伏見

今回は、名古屋の伏見駅で
たまたま入ったお店での出会いを
お話ししたいと思います

伏見駅の地下鉄構内には
少し古い商店街のような不思議な空間があります

洋服のお直しのお店
昔ながらの喫茶店が並んでいるんですが

その日、待ち合わせしていた方が
少し時間に遅れるということになって
時間ができたので
ふらふらと歩いていたんです

そこで「ドリーム伏見」というカフェに出会いました
見ると、脳卒中専門の支援事業所と書いてある

「これは何だろう。」と思って
ふらりと入ってみたんです

中に入ると
脳卒中の後遺症を持つ当事者の方が
スタッフとして働いていて
指導員の方と一緒にコーヒーを出してくださる

「提供に少し時間がかかります」といった
案内もありましたが、そこに違和感はなく
むしろとても自然な空間でした

そこから興味が湧いて
市議会議員であることをお伝えして
お話を聞かせていただくことになりました

当事者が活躍する場としての取り組み

お話をしてくださったのは支援員の加賀瀬さん

ドリーム伏見2013年
脳卒中の当事者のご家族が始めた喫茶店が出発点
今ではNPO法人として活動しています

現在は伏見の地下街にカフェを構えながら
いくつかの事業を展開しています

喫茶事業に加えて
当事者が講師となる教室運営事業
絵手紙やビーズなど
自分の経験を活かして教える場があります

さらに講師派遣事業では
当事者が医療や福祉の現場に出向き
当事者自身が自分の体を使って
リハビリや介護技術の検証に関わったり
体験談を伝えたりする

実際の脳卒中後遺症を持つ当事者自身が
身体を通して伝えられることはとても大きく
現場の学びにも深くつながるものです

そして相談事業も行われており
県外からも多くの方が訪れ
なんと、九州や四国から来られた方も
いらっしゃるそうです

当事者の方が相談に来られることもあれば
後遺症のあるご家族を支えている方が
相談に来られることもあるそうで

ある時は
若くして脳卒中を発症されたお兄さんを持つ弟さんが
相談に来られたそうです

お兄さんは片手で髪を整えることが難しく
それが理由で外出を嫌がるようになってしまった

「どうしたらいいんだろう」
「片手でもうまく髪をセットする方法は
ないんだろうか」

そんな思いで相談に来られたそうです

そしてその相談に応じるのは
同じように脳卒中の後遺症を経験している
当事者の方々です

実際の経験をもとにアドバイスをする
そういった関わりも
この事業の一つとして行われています

企業とのコラボが生み出す価値

さらに驚いたのが、民間企業との共同事業です

化粧品会社のカネボウと連携し
当事者の声をもとに商品開発にも関わっているという
取り組みがありました

ある日
当事者の方がこんなことをおっしゃったそうです

まだお若い女性の方だったそうなんですが
「入院中一番嫌だったことは
朝、看護師さんが来ることだったんです。」と

その理由を聞くと

「私はパジャマで、何も身支度もできていないのに
看護師さんはきれいにメイクをして
来られるじゃないですか
それを見ると、自分がとても惨めで。
恥ずかしい気持ちになるんですよ」と

その言葉を受けて
片麻痺があってもどうすれば自分でメイクができるのか
どうしたら無理なく身だしなみを整えられるのか
そんな視点が生まれたそうです

また、顔の麻痺の影響で
片側が少し下がってしまう方もいらっしゃるんですよね

そういった状態でも
メイクの工夫次第でバランスを整えることができる

そういうメイクの方法を
知りたいという声もあったそうです

こうした声を受けてカネボウの美容部員が
メイクの仕方を教える講習を行う

逆に、当事者の方からは
化粧品のチューブやクリームの蓋の開け方など
「ここが使いづらいんです」というリアルな声を
カネボウの美容部員や開発の方に直接伝える

そんなディスカッションが行われているんです

その声が
ユニバーサルデザインの商品開発につながっていく

蓋の開けやすさや容器の形状
パッケージの工夫など
日常の使いやすさを当事者の視点から改善していく

支援者が「場」を調整することにより
「支援」を「価値」に変えることができるんだ!
という気づきを得ました

偶然の出会いがつないだ可能性

今回私は全く別の用事で伏見に来ていて
たまたま立ち寄っただけでした

でもその中で
ここまで深く学ばせていただく経験になるとは
思っていませんでした

脳卒中だけを専門に扱っている事業所は
全国でもここにしかないのだ、と
加賀瀬さんはおっしゃっていました

だから、様々なところから視察に来られるんだそうです

またこんなエビデンスも教えていただきました
当事者が社会参加をすることで
脳卒中後の予後が良くなるという
調査結果もあると聞きました

コミュニティに参加すること
人と関わること
それ自体がリハビリであり、回復につながる

そうしたエビデンスのもと
ドリーム伏見さんの事業は展開されているのだそうです

偶然にも立ち寄った、ドリーム伏見さんとの出会いに
私の中で一つの想いが浮かびました

産業ケアマネの「両立支援」と
このドリーム伏見の取り組みはつながる

仕事と介護だけでなく、治療と仕事、後遺症と仕事
これもすべて「両立」のテーマです

実際に加賀瀬さんともお話をして
近いうちにコラボすることになるかもしれません
その時はまた、皆さんにお伝えしますね

支援の形はひとつじゃない

今日はたまたまの出会いでしたが
支援の形は本当にさまざまだと改めて感じました

当事者が支える側に回ることで生まれる価値
社会とつながることで広がる可能性

この視点は
これからの支援にとってとても大事だと思います

今回のご縁をきっかけに
また新しい形の取り組みが生まれそうです

そんな予感を感じながら
これからの展開を楽しみにしています

偶然の出会いが
新しい気づきや可能性を
連れてきてくれることがあります
今回のこの経験も
きっとこれからの活動に
つながっていくものだと感じています

ドリーム伏見さんにご興味を持たれた方は
ぜひ一度ホームページもご覧になってみてください

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