令和7年6月定例会 一般質問 エッセンシャルワーカーの確保について
6月2日から岡崎市議会の6月定例議会が始まりました
初日は市長による提案説明と議案の説明が行われ
その後、午後からは一般質問がスタート
岡崎市議会では、議員一人ひとりに
30分間の一般質問の時間が与えられています
ちょっと自慢なんですが
私は議員になってから一度も
一般質問を休んだことがありません
議員に与えられた大切な権利として
毎回取り組んできました
今回の質問テーマは
「エッセンシャルワーカーの確保」について
中でも「外国人材」特に介護職に焦点を当てて
質問をさせていただきました
質問:本市における長期人口減少の見通しと影響は?
回答:令和6年3月に公表した「岡崎市の将来推計人口」では2025 年の約38万5千人をピークに減少を続け、2050年には3万人程度減少が見込まれ約35万5千人
80年後の2105 年には2025年から16万2千人程度減少し約22万3千人となる見込み多くの他自治体に比べて減少の始まりは遅いが、その影響は全国的な傾向と同様に税制度や社会保障制度の再構築を迫られるだけでなく、地域コミュニティや商圏人口においても大きな変革を求められると想定される
質問:後期高齢者人口や生産年齢人口それぞれ総人口に占める割合の見通しは?
回答:75歳以上の後期高齢者人口が総人口に占める割合は2025年の14.0%
2050年には20.4%となり、80年後の2105年にかけて22%前後で推移する見込みまた、15歳~64歳の生産年齢人口が総人口に占める割合は2025年の62.1%が2050年には54.7%となり、80年後の2105年にかけて53%前後で推移する見込み
質問:バスや電車の運転手も私たちの生活の移動手段を支える大切なエッセンシャルワーカーだと考えるが、昨年、名鉄バスの外国人雇用が「岡崎モデル」として全国的に注目されたその経緯と現状は?
回答:公共交通機関においてはすでに生産年齢人口の減少に起因するバスやタクシー運転手の高齢化や人手不足が深刻化している
また、いわゆる「2024年問題」と言われる2024年4月の労働基準法改正に伴う時間外労働の上限規制適用の影響もあり、サービスを維持する上で運転手の確保は喫緊の課題となっている
そのような中、人材確保に向けた方策の一つとして2024年3月には外国人労働者を受け入れる在留資格「特定技能」について「自動車運送業」の分野が新たに追加され、当該在留資格により、バスやタクシー、トラックの運転手として働く道が開かれた
この動きに沿って、2024年4月に名鉄バス株式会社と本市は包括連携協定を締結し、外国人運転手の実現に向けた取組を進めている現在、採用第1号となる男性が日本語学校での日本語教習を終了し、今年2月1日付で名鉄バス株式会社へ入社
現在は大型二種免許を取得し、バス運転士としての業務教習に取り組んでいる
今後は、在留資格を有する外国人を対象に採用を継続していく予定
外国人介護人材と「特定技能」
現在、国の制度として
平成31年から「特定技能」という仕組みが
スタートしています
これは一定の試験に合格した外国人に
日本で働けるビザが発行される制度で
多くの方が実際にこの制度で働いています
介護職においても
母国で日本語や専門的な介護技術を学んで来日します
たとえば、臥床・座位・嚥下・誤嚥など
日本人でも難しい専門用語を
しっかりとマスターしてこられるのが
外国人材なんです
その意味で、同じ外国人材でも
介護職とバス運転手では
求められるスキルや準備が異なってくるんですよね
私は今回の質問の中で
すでに昨年出来上がっている
バスの運転手の「岡崎モデル」を
介護職にも横展開できないかと提案しました
この点について
市からも前向きな回答をいただきました
質問:介護現場における海外からの外国人雇用の現状は?
回答:介護現場における外国人の雇用状況については、市としての詳細な現状把握はできていないが、既に複数の事業所で、多数の外国人の方が活躍していることは承知しており、介護人材確保のためには欠くことのできない要素になっているものと認識している
また、昨年度に人材確保対策の新たな取り組みとして、市内の特別養護老人ホームの施設職員を対象に、施設職員が抱える様々な課題を共有すべく「職員交流会」を開催したが、その際にも「外国人スタッフによる記録作成の際の課題や工夫」といった事例が話題になる様子が見られ、そうしたことからも、関心度、重要度の高まりを感じている
こういったことからも、市として外国人労働者の支援を行っていくことは、岡崎市全体の介護業界の人材確保を促進する有効な手段になり得るものと認識している
質問:外国人の介護職は、母国である程度の日本語と介護技術を習得して日本にきており、 「座位」「臥床」「誤嚥」など介護の専門用語をマスターして現場に入る
しかし、施設と外国人介護職とのコミュニケーションは各施設ごとのノウハウに頼るところが多く、中には、外国人介護職受け入れに関して、不安だという言う理由で二の足を踏んでしまう施設もある
受け入れノウハウの共有を施設間ですれば良いのに、と歯がゆい思いもある
このようにバスの運転手と介護士とはニーズが違うと感じているが、介護分野への岡崎モデル横展開の展望は?回答:岡崎モデルは、暮らしに必要不可欠な役割を担うエッセンシャルワーカーのうち、資格取得を必要とするなど、外国人材を確保しにくい業種・職種に関する取組である
中でも、先の答弁にある通り、介護分野における対応は喫緊の課題と感じている
その一方で、岡崎モデルは業種・職種ごとで異なる状況やニーズに対応すべく、丁寧な聞き取りを前提としているため、介護分野への横展開についても詳細を把握するヒアリングから着手する必要がある一口に横展開と言っても、現状想定し得る範囲で外国人材に関連するバス運転士と介護士の違いは次の3点が挙げられる
1点目、介護事業者はバス事業者と異なり、市内に数多くの事業者がいること
それぞれの事業者ごとに立地や課題感などに大きな差があるため、外国人材を希望する介護事業所同士で課題や心配事を共有して、共に解決策を模索できる体制を整える必要がある2点目、外国人材が岡崎市に定着するための方策の違い
市内の介護事業所では、すでに外国人材が一定数働いており、市内事業所で働く外国人材同士が交流できる機会を設けることが、今後も働きやすい環境の整備につながると推察される
また、既存の制度ではあるが、介護士のキャリアアップを事業所が支援する仕組み、その一部を市が補助する仕組みを活用し、外国人材が自身のやりがいや処遇向上につなげてもらえれば、岡崎市への定着にも効果が高いものと見込まれる3点目、これは横展開全体に言えることでもあるが、バス運転士の場合は在留資格を有する日本国内在住の外国人を手始めに対象としていたが、モデルの発展性を考えると、これから日本に来ようとする外国人も対象になると見込まれる
そのため海外の外国人に対して、岡崎市内で働きたいと思ってもらえるような情報の発信が必要になると予想されるが、現状ではその決め手となる材料が何かは把握できていないそこで、介護分野で言えば、既に市内の介護事業所に勤務している外国人に協力をいただき、情報発信で重視すべき内容、時期、媒体などについてヒアリングを行う必要がある
人口推計からみても介護分野での人材不足傾向は加速するとともに、その対応策としての外国人材確保は重要性を増してきている
介護分野における外国人材の獲得競争は目前に迫っていると言っても過言ではない
そのための情報発信にいち早く着手して、岡崎市が介護分野における外国人材を歓迎する都市としてのブランディングに挑戦する意気込みで臨んでいきたいと思っている以上3点は、現段階での想定で、今後取組を進めるにあたっては、ニーズの聞き取り、課題の整理、対策の検討など丁寧に伴走する岡崎モデルの特徴を活かして、横展開に向けた力強い一歩を踏み出していきたいと考えている
岡崎市に働きに来た外国人がやりがいをもって活躍でき、市民がそのサービスを享受しながら共に充実した暮らしを送る未来に向けて、このモデルを推進していきたいと思う
政策を「押し付けない」姿勢が大事
私たちがよくやってしまいがちな失敗として
「人材定着のためにこれがいいんじゃないか」
と仮定して
政策を打ち出してしまうことがあります
でも、それが
実際のニーズとズレてしまうことも少なくありません
今回の答弁でよかったのは
「外国人材の定着に必要な答えは
外国人自身が持っている」
という認識が示されたこと
当事者である外国人の方や
受け入れ施設へのヒアリングを丁寧に行い
その声を政策に反映していく
実際に特定技能制度で
既に雇用が始まっている施設も多く
その施設ごとのノウハウがあります
こうしたノウハウを共有し
「岡崎モデル」として介護職にも展開し
外国人の雇用定着につながればと考えています
その第一歩として
ヒアリングを重ねながら
丁寧に取り組んでいくという方針を
確認することができました
外国人材と一緒に生きる時代へ
なぜ今回この質問をしたのか
それは、少子高齢化と労働人口の減少が進む中で
外国人の力を借りないと
どうしても労働力が足りなくなってきているという
現状があります
実際、電話の工事がなかなか予約できなかったり
コールセンターがなかなかつながらなかったり
スーパーでも
「今日は人手が足りなくて唐揚げが揚げられません」
なんてこともありますよね
ほんの少し前までは考えられなかったことが
今では当たり前になりつつある
だからこそ、外国人材の受け入れを進めるとともに
どう共に生活していくかを考える時代が来ています
そしてこれは単なる受け入れではなく
「優秀な人材の獲得」という面で
競争にもなっていきます
岡崎としても
他の自治体に先駆けて動いていくべき
タイミングだと感じています
岡崎の魅力を伝える“インフルエンサー”として
今回の一般質問に向けて
私は事前にいろいろな現場を訪れました
ベトナムに、日本へ人材を送る
送り出し機関があります
2月には実際にベトナムに行き
この送り出し機関を訪問
介護職として
日本で働くことを希望する若者たちに会ってきました
また岡崎市内の事業所や日本語学校
ビジネス専門学校にも足を運び
現場の声を聞きました
中でも印象的だったのが
ある22歳のインドネシア人の女性との出会い
デイサービスでお風呂の介助をしていた彼女は
笑顔が素敵でおじいちゃんおばあちゃんにも大人気
そんな彼女が言ったんです
「岡崎にはお城もあるし
それをバックにして写真を撮ってインスタに載せると
家族や友達がすごく喜んでくれて
素敵なところで働いてるんだね、と言ってもらえるのが
うれしいんです」
「バスでいろいろなところへ行けるし
遊びに行こうと思えばUSJだって行ける
岡崎っていいところですよ」
その時、私ははっと気づきました
彼女たちは、単なる“労働力”ではなく
岡崎の魅力を発信してくれる存在にもなり得るんだと
岡崎の桜、花火、お城といった
私たちが見過ごしがちなものも
外国人の目にはとても魅力的に映っているんです
もちろん労働環境とか給与水準といった条件も
大事なことではありますが
それだけでは人材確保の競争ができないからこそ
岡崎が外国人材にとって
「働きたい」「暮らしたい」と思える場所であること
それを市としてしっかりと伝えていくことが
これからの時代に必要だと強く感じました
すでにある岡崎の歴史的なもの
そして「岡崎モデル」という仕組み
これらを組み合わせて発信していくということが
大事なんじゃないかと思うのです
優秀な外国人材を確保していくために
今こそ、岡崎ならではの強みを活かすときだと思います
おわりに
介護を支えてくれる外国人材の方々は
地域にとって大きな力であり希望です
だからこそ
働く場所としての岡崎を、誇れる場所に!
「世界から選ばれるまち」を目指して
政策の整備と魅力の発信
どちらも大切にしていきたいと思います