介護職こそ自分自身を大切に ~ シャンパンタワーの法則 ~
今回は、私が研修やセミナー、日々の業務の中で
とても大事にしていることについてお伝えします
介護職はまず自分自身を満たすことが大事
「介護職こそ、自分自身を大切にすることが大事」
という考え方です
これは介護職に限らず
すべての人にとって大切なことですが
特に介護職においては
意識的に取り組むべきことだと感じています
この考え方を伝える時によくお話しするのが
「シャンパンタワーの法則」 です
シャンパンタワーの法則とは?
皆様、シャンパンタワーを知っていますよね?
グラスが何段にも積み重なっていて
一番上のグラスからシャンパンが注がれていく
一番上のグラスが満たされると次の段のグラスに流れ
そこも満たされるとその下のグラスへと続いていきます
このシャンパンを
自分自身に見立ててくださいというお話を
いつもしています
一番上のグラスは 「自分自身」
2段目のグラスは 「家族や大切な人」
3段目は 「仕事仲間や職場の人」
そして4段目が 「社会全体や世間の常識」
というイメージです
ここで大事なのは
一番上のグラスが満たされなければ
その下のグラスには
決してシャンパンが流れていかないということ
つまり
「自分が満たされていないと
周りの人を幸せにすることはできない」
ということなのです
シャンパンをエネルギーに例えて
「まず自分自身を
愛のエネルギーで満たしていますか?」
という問いかけをいつもしています
介護職は感情労働者だからこそ、自分を大切にするべき
私は介護の仕事を20年していますが
介護職は 「感情労働者」 と言われる仕事です
肉体を使う仕事をする人は 「肉体労働者」
頭を使う仕事をする人は 「知的労働者」
そして
感情をコントロールしながら仕事をする人が
「感情労働者」
例えば、ケアマネージャーや介護職は
どんなに自分のプライベートで嫌なことがあっても
利用者さんの前では笑顔で接することが求められます
これは 「役割を演じる」 という側面があるんです
同じように、保育士さんやキャビンアテンダントさん
レストランの店員さんなども感情労働者と言えます
このような仕事をしていると
自分の気持ちに鈍感になってしまうこともあります
でも、本当に良い介護をするためには
まずは自分自身が
心と体の余裕を持つことが大事なのです

利用者さんの最期に立ち会う私たちの役割
介護職やケアマネージャーは
利用者さんの
人生最後の相談援助者になることがある仕事です
モニタリング訪問をした翌日に
その利用者さんが亡くなっていた
そんな経験をしたこともあります
利用者の方がお一人暮らしだった場合には
その人が人生で最後に話をした相手が
自分だったということもあるのです
そんな大切な役割を担う私たちが
もし疲れ切っていて、余裕がなくて
笑顔一つ見せることもできなかったらどうでしょうか
利用者さんの人生の最期に関わる人間として
それでいいのか?と考えることがあります
だからこそ介護職は
「まず自分自身を満たすこと」がとても大切なのです

「自分を満たすこと」は甘えではない
そこでシャンパンタワーの法則に戻ります
まずは一番上のグラス
つまり自分自身を満たす ことが必要です
これは 決して自分のためだけではなく
むしろ周りの人のためになることなのです
例えば、子育て中のお母さんが
自分のことを後回しにして
子どもにばかり美味しいものを
食べさせていたらどうでしょう
「自分は食べなくて家族が食べてくれたら幸せ」
そういう考えもあるかもしれません
でもそれがずっと続いたとしたら
同じ気持ちで続けることができるでしょうか
お母さん自身が美味しいものを食べた時に
「これ、美味しい!家族にも食べさせてあげたいな」
そう思えるのは
自分自身が満たされたからこそ
思えることじゃないでしょうか
介護職も同じです
まずは自分自身を満たしてあげることで
自然と利用者さんや周りの人にも
愛情やエネルギーを分け与えられるようになります
自分を大切にすることで、より良い介護ができる
心と体に余裕があると
利用者さんと向き合うときに笑顔になれます
話をじっくり聞くこともできます
心のこもった支援ができるようになります
自分たちの感情は横に置いておいて
第一に利用者さんのためを思って
動いてしまうのが介護職
だからこそ
まず「自分自身を満たすこと」 を大切にしてほしい
そのためにはゆっくりと休み
心と体に余裕を持つことが重要です
・ 心地よい布団で眠る
・ 自分の気に入ったお洋服を着る
・ 良い環境で暮らす
こうした 「自分を大切にする行動」 が
結果的に 利用者さんのためにもなるのです
ぜひ、ご自身の心と体を大切にしてくださいね