介護の相談を上司に相談する時はすでに
職場における
仕事と介護の両立支援の難しさについて
今日は同じ介護問題でも
見る角度からは全く違う課題が潜んでいる
という話をします
私は愛知県に住んでいるので
新幹線から見る静岡県側の富士山が
自分の中のイメージなのだが
反対側の山梨県から見る富士山は
富士山の中腹からぽっこり出ている
宝永山の位置が左右違って見えたりします
同じ富士山でも
見る場所、季節、時間が違えば見える姿が変わる
また 見る側のその時の心情や状況によっても
鼓舞してくれているように感じたり
慰めてくれているように感じたり
同じ事象を見るときに
多様な見え方をするということ
人は自分が見たいように
その物事を見て解釈する生き物であるのです
利用者側からと家族側から見える介護の違い
介護支援専門員
これはケアマネジャーの正式名称ですが
字の如く 私たちは介護を支援する専門家
しかし これはあくまでも
介護保険法を取り扱うケアマネが
利用者支援をする立場における際の専門家
家族支援もケアマネジャーの仕事にあるが
利用者支援のための家族支援であり
家族支援を主とした立場で支援をしない
仕事をしながら介護をする
いわゆるビジネスケアラー支援について
ケアマネとしてその必要性は理解しているが
介護保険のケアマネジャーが家族支援に
時間を割いて行うことは
現実的に難しい
富士山の見え方が違うように
同じ介護の事例を見ても
利用者から見える景色と
家族から見える景色は全く違うことがあり
また必要となるサービス支援も
全く違うのだ
仕事をしながら介護をする家族にとって
ヘルパーやデイサービス利用はもちろん必要だが
それだけでは解決できない
もっと本質的な課題が潜んでいる場合もある
母親の介護で「介護離職」をした女性の例
50歳代女性 長年務めた会社では
立場を得て仕事をしていた
一人娘さんで父親は他界
結婚はしておらず長年母親と二人暮らし
母親の認知症が始まり
帰ってくると家の中の様子が違う
例えば 母親が買い物のたびに卵を買ってくるので
冷蔵庫の中が卵でいっぱいになったり
訪問販売らしき
健康食品が定期的に届くようになったり
真夏なのに 帰ってくると
クーラーが暖房になっており
汗だくの状態で母親が座っていたり
仕事から帰るたびに母親がおかしなことをする
介護保険を申請しサービス利用をするのだが
デイサービスが休みの日は
母が家で何をしているのか気になる
一台室内カメラを設置した
スマホでいつでも確認できるWEBカメラだ
仕事をしながらも母親の様子を確認できて安心した
しかし カメラの映らないところで
母親が転んでいた
カメラをもう一台設置した
今度はお風呂の水を出しっぱなしにした
カメラをもう一台設置した
気がつくと家じゅうにカメラが設置されており
女性は仕事中もずっとスマホでカメラをチェックするようになった
ある日女性は決意する
私が家にいて母親を見てあげなければだめだと
退職して家で介護を始めた矢先に
母親は脳梗塞で倒れそのまま亡くなってしまった
母亡き後 女性は再就職を試みるが
以前のような待遇で雇ってくれるはずもなく
どうして自分は仕事を辞めて母の介護をしたのだろうか
本当にこれでよかったのだろうか と考えるという
職場に相談窓口があれば
これはいくつかの実例を交えながらの話ですが
実際に起こっている介護離職の現状です
この事例を産業ケアマネとして眺めてみると
いくつか支援ができたポイントが見落とされており
介護離職を未然に防ぐことができたと思うのです
- 職場の介護教育
- 職員が抱える介護リスクの把握
- 介護相談窓口の設置
- 介護に直面している職員へ個別面談
- 必要に応じて専門家へ繋ぐ支援
職場教育の中に介護教育を入れることで
職員自身が自分の介護リスクに気づくことができたし
将来訪れるであろう介護に対する
事前の準備ができた
「備えあれば憂なし」
やがて訪れる介護に向けて
職場でも個人でも備えをすることで
共に乗り越えることができます
また 個別相談窓口設置をすることで
上司には知られたくない
兄弟の揉め事
自身の幼少期のこと
リアルなお金の話
など 専門家だから話せる「場」を持つことで
職員が介護で疲弊しない職場を作ることができます
また この事例の場合
単に介護サービスを使えば解決するケースでなく
長年の親子関係からくる
共依存についても課題があるように思えます
これは 介護の専門家だから気付ける視点です
介護によるパフォーマンス低下を防ぐ必要性
親に何らかの支援が必要な時間は
軽い支援から重い支援まで合わせると
実に10年とも言われます
家庭生活と職業生活の両立
家庭生活に課題を抱えていると
仕事に支障をきたします
例えば 朝 夫婦喧嘩をして仕事に出ると
仕事のパフォーマンスが落ちます
介護も同じです
親の介護課題が解決しないまま働くことで
介護による仕事のパフォーマンス低下は
実に 8兆円とも言えれています
会社の売上 業績に直結する問題です
私たち企業と産業ケアマネを紡ぐ会では
企業様に産業ケアマネを派遣し
無料アンケートを実施し
職場内の介護リスク把握から始めていきます
多くの企業様がこのアンケート結果を見て
自社職員の介護リスクの高さに驚きますが
まずは「知る」ことをおすすめしています
介護に直面している職員は
なかなか職場ではプライベートのことを話しません
上司に相談に来る時には
相当切羽詰まった状態であることが多い
働きやすい職場づくりの一環として
ぜひ産業ケアマネを取り入れてみてください
4月29日 岡崎市内で
ビジネスケアラー向け
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