豊田市「はたらく人がイキイキ輝く事業所表彰」で感じた、“根っこ”の力

今回は先日、豊田市さんに
産業ケアマネとしてお招きいただいた時のお話
したいと思います

豊田市から講演のご依頼をいただき
「仕事と介護の両立支援」をテーマに
表彰式後の講演会で1時間お話をさせていただきました

豊田市には
「はたらく人がイキイキ輝く事業所表彰」という
13年間続いている表彰制度があります
今回の表彰式では、太田市長が
受賞された11事業所それぞれの代表の方に
直接表彰状を手渡されていました

市長の挨拶で語られた「根っこ」の話

表彰式の冒頭、豊田市長の挨拶の中で
とても印象的な言葉がありました

市長は、この表彰制度が始まった13年前に就任され
その頃から企業のウェルビーイングに
注目してきたと話されていました

一人ひとりの従業員に目を向けることが
企業の働きやすさを整え
結果として豊田市全体の産業振興につながる

その“根っこ”の部分は
事業所がどれだけ従業員を大切にしているかなのだと
「根っこ」という言葉で表現されていました

聞きながら
本当にその通りだなと感じていました

トップの宣言から始まる両立支援

産業ケアマネとしてお話しする時
私はいつもこうお伝えしています

仕事と介護の両立支援は
まず会社のトップが宣言することから始まる

「うちの会社は、従業員を大事にする」
「家庭生活と仕事の両立を応援する」

この姿勢を
まず言葉と行動で示してください、と

豊田市の取り組みを見ていても
まさに同じだと感じました

データが示す育児と介護の大きな差

ここで、豊田市が令和6年3月に発行した
「男女共同参画社会に関する事業所調査」に
触れたいと思います
従業員300人以下の市内300事業所を対象に
行われた調査です

育児休業の取得率については
全国平均が女性約80%、男性約40%弱に対して
豊田市では女性100%、男性55.1%

全国と比べても非常に高い水準です

なぜ、豊田市の水準がここまで高いのか
それは、トップである市長が
「育児と仕事の両立支援を本気で進める」と宣言し
支援できている事業所をきちんと表彰してきた
その積み重ねの結果が
数字として表れているのだと思います

介護になると、景色は一変する

一方で、介護休業の取得率を見ると
まったく違う景色が広がります

全国平均は3%台
豊田市でも、女性2.9%、男性3.5%と
ほぼ全国と同じ水準でした

育児と介護では
これほど大きな差が開いているのが現状です

さらに興味深いデータがあります
「介護休業や介護に関する相談を
受けたことがあるか?」という質問に対し
約8割の企業が“該当者がいない”と回答しています

でも、本当に介護リスクを抱える従業員が
いないわけではありません

前例がないことで相談しづらい
上司や人事が、制度を説明できない

そんな状況が
データの背景に見えてくるように感じました

介護との両立“第一号”が、企業の試金石になる

会社で、介護の当事者が初めて現れた時
いわば、介護との両立“第一号”が出た瞬間こそ
その会社の対応力が試されます

相談に来られても、上司が判断できない
人事が制度を説明できない

この状態こそが
「現在、該当者がいない」と答えた企業の
実は一番の課題なのだと思います

働き方を整えることが、両立を可能にする

「就業形態の柔軟な移行」についての対応状況は
平成23年度には4割台だったものが
令和5年には7割以上に増加しています

つまり、働き方を整えることで
仕事と育児、仕事と介護の両立は“可能になる”

このことが、数字としてはっきり表れているのです

だからこそ、個別性が高く
難しさのある仕事と介護の両立支援において
企業と従業員の橋渡しをする存在
それが、私たち産業ケアマネの役割だとお話ししました

講演後に聞いた、現場のリアルな声

講演後の懇親会では
受賞企業の皆さんとお話しする機会がありました

「育児は進んでいるけれど、介護はこれからです」
そんな声が、ほとんどでした

実際に介護を経験された部長クラスの方からは
「本当に大変だった」という
率直なお話も伺いました

今このタイミングだからこそ
会社として、介護と仕事の両立体制をどう整えるのか
そのことが
強く問われているのだと実感する時間でした

自治体でも、企業でも
トップが本気で取り組むと宣言し、やり切ること
それが、両立支援のスタートであり
良い循環を生み出す

豊田市の取り組みから
その“根っこ”の力を、改めて感じた一日でした