タイ視察で価値観が変わった医療・介護の未来をどうつくる?
今回タイへ医療介護についての勉強に行きました
日本の介護職・医療職の仲間と定期的に
海外へ勉強に出かけているのですが
今回は3泊4日のタイ視察に参加しました
議員できているわけでなく
完全にプライベートの勉強会ですが
実際に現地を見て
世界の中で日本の立ち位置を肌で感じてきました
今回はその中で感じたことをお話しします

医療ツーリズムの最前線に触れて
日本の介護は海外で価値提供できるのか
海外から見える日本の介護サービスの価値に興味があり
定期的に海外の医療介護の状況を見てみたい
マイハートの石原ヨージ氏主催の会に参加
000株式会社メディアケアプラス三縄浩司氏による
コーディネイトの元
2月にはベトナムにも行きました
そして今回は前回のメンバーに加えて
新たなメンバーも交えて
総勢日本の仲間10人でタイにやってきました
北海道、神奈川、埼玉、愛知、岐阜、福岡
医療、介護に携わるメンバーでの視察です
今回の視察では、病院や介護施設
日本人がタイで経営している薬局卸の会社
福祉用具企業などを訪問しました
たった2日間で何箇所もまわる過密スケジュール
その中で自分の価値観が大きく変わったのを感じます
・サミティベートスクンビッド病院
・ブレス薬局
・メドパーク病院
・パラマントベッドタイランド
・Ishii And Partners 介護施設リハビリ
・ドリームナーシングホーム
これだけの施設を周り
幹部様より直接説明を受けました
タイでは私立病院と公立病院の格差がとても大きく
私立は富裕層や周辺国のVIPが通う場所
視察したバンコクの病院グループ
(サミティベートスクワンビッド病院)は
なんと57病院・売上1兆円規模で
医療の国際化が徹底されています
世界基準の医療を輸出産業化している
そんな病院なんです
医師600人が個人事業主のようにテナントで入っていて
自分の診療単価を設定できる仕組み
患者から直接ドクターフィーを受け取るという
日本とはまったく異なるスタイルで運営しています
「医療ツーリズム」という言葉
皆さんも聞いたことがあると思います
私は「旅行+医療」程度のイメージでいましたが
タイの医療ツーリズムは
“命を救う国際医療”そのものでした
タイの医療ツーリズムは
完全にビジネスとして成立しており
日本はこの分野で
大きく差をつけられていると感じました


日本が抱える課題と、タイが先に進む理由
日本の医療が外国人富裕層に選ばれない理由は明確です
まず、待ち時間の長さ
そして英語対応力の弱さ
さらに国際認証を受けている病院が
非常に少ないという点です
対してタイの医療ツーリズム特化病院では
医師・看護師・受付すべてに通訳が配置され
顧客が使用するあらゆる言語に対応
日本のような「通常診療+外国人対応」ではなく
最初から国際医療を前提とした体制なんです
私が想定していたような
通常の診療に観光を付け加えるという
医療ツーリズムは片手間感覚であり
とても立ち打ちできないと感じました
私は日本の病院に患者を呼ぶことしか
考えていませんでしたが
現実は日本人の富裕層が
タイや上海に治療を受けに行く時代が来る
そんな話もリアルになりつつある現状をみました
世界の構図はすでに変わりつつあるということは
非常に感じるところで
実際、タイの病院では国際輸送チームがあり
医師が乗り込んだプライベートジェットで
迎えに行く場合もあるそうです
世界のVIPがタイに来て最先端の医療を受けて帰り
VIPを満足させることができるサービス
そういう医療モデルを作ってるんですよね
タイの介護現場で感じた「夜明け前」
一方で、介護分野は
まだ日本の30年以上前のような状態で
介護制度としては日本とタイでは
天と地ほどの差があるのが現状です
タイには介護保険制度がなく
専門職も圧倒的に不足しており
リハビリも専門家ではない人が
リハビリ(的)なことを行っているのが
現状である施設が多い
そもそも国民感情として
親を施設に預ける文化がなく
在宅で看るのが当たり前という社会的背景もあります
私はここで自分の大きな認識違いを痛感したのです
それは、「日本の介護システムや技術は進んでいるから
タイでも日本の介護は喜ばれるに違いない!」
しかし現地で聞いた話からは
実際はそうではないということがわかりました
日本人介護士が
タイ人を介護をすることに抵抗を示す人も多く
「介護施設で日本の色を出さない方がいい」
と現地法人担当者が教えてくれました
(2月に行ったベトナムでは逆に日本の介護サービスに
ブランドイメージを持っている印象がありました)
しかし現実タイでも、高齢化は確実に進みます
今は市場が小さくても、必ず介護に対する需要が高まる
この“介護の夜明け前”のタイで
日本の介護サービスを展開するためには
今どれだけ”土台”を作れることができるか
そのことが未来を左右すると思いました



日本式の良さをどう価値に変えるか
日本の介護には
「自立支援」という大切な考え方があります
できることは自分で、最後まで自分らしく
しかしタイでは
障害のある人に自分で動いていただくこと自体が
“かわいそう”という価値観があり
自立支援という考え方がまだ理解してもらえません
それでも私は
この日本の考え方は正しいと思っています
現地の文化を尊重しながら
少しずつ理解してもらうことが重要です
日本の強みは「品質」「安全」「真面目さ」
けれど弱点は
「スピード感」「マーケティング力」「国際化力」
改めて今回の視察で痛感したのは
介護は医療・薬局・美容・輸送・教育などを含む
“総合産業”だということです
それ故に介護産業が介護のことだけを見ていては
世界には通用しない
世界の視点で
価値を再構築していく時期にきていると強く感じました
おわりに
今回の視察では
「日本式介護をそのまま輸出する」ことが
できないことがよくわかりました
けれど、日本が持つ
丁寧さや公平性、安全性といった本質的な価値を
世界の基準に合わせて表現していくことはできます
「井の中の蛙 大海を知る」
まさに私が今回感じたことです
同じく介護の仕事に携わる方々も
世界から学ぶという視点を
ぜひ持ってほしいなと思います
今後もこのような医療介護の視察ツアーを
定期的に企画するということです
私も公務との兼ね合いで行ける時が限られますが
また機会を作って他の国も見てみたいと思います
かなりレベルの高い情報提供を受けられる
そんなツアー企画してもらっています
(主催の石原さんが宣伝してくださいとのことで
最後に少しだけ宣伝してみました)



