沈黙は容認 自分には何ができるか
先日、岡崎で谷口たかひささんの講演会が行われ
私が司会をさせていただきました
この谷口さんというのが、実に強烈な個性の持ち主
歯に衣着せぬ物言いで、グサグサと刺さる
言葉や出来事があったんです
谷口たかひささんとの出会い
今回の公演も全国から100人以上が集まり
会場は熱気に包まれていました
そんな中、谷口さんは休憩なしで2時間近く話し続け
質疑応答や写真撮影にも対応してくださいました
この質疑応答も挙手で質問を受けつけていたのですが
会場のお客さんだからといって忖度は一切しないんです
「それ誰が言ったんですか」
「いつですか、どこの媒体ですか」とビシッと切り込む
曖昧さを許さないんですよね
谷口さんは
環境活動家であり、起業家で、作家でもある人
『シン・スタンダード』
『自分に嫌われない生き方』
といった本を出されています
経歴としては
2019年にドイツで気候変動の深刻さを目の当たりにし
「みんなが変われば必ず変わる」をモットーに
『地球を守ろう!』を立ち上げ
世界を飛び回って気候変動の発信や講演をしています
私のInstagramの運用をしてくれている、えいみちゃんが
谷口さんの講演会がすごくいい、と教えてくれて
その後トントン拍子に話が進み
今回4月26日に講演会が実現しました
この谷口さんとは今回が初めてだったんですが
その一言一言が、鋭く心に刺さる

懇親会で浴びた「ダサい」の一言
講演後は懇親会が行われました
本当は次の茨城へ移動する予定があったため
一次会で帰る予定だったのですが
面白いからといって二次会まで参加してくれた谷口さん
結構お酒を飲まれる方で
酔えば酔うほど
本音の谷口さんがどんどん出てくるんです
26歳のえいみちゃんを除いては
その場は谷口さんより年上の人間ばかり
そんな中でも谷口さんは
曖昧な質問をする相手に対し
「言ってることわかんないです」と
バッサリ切っていたんですよね
実は、私も質問したり発言したことに対して
真正面からこう言われてしまいました
「あんた、何が言いたいのか
何がやりたいのか全然わからない
なんかダサいですよ」
相当な言われ方に
一瞬、言葉が出なかったんです
思い出した、あの人のこと
その瞬間、ある人のことを思い出したんです
それが、宮崎直樹さん
ケアマネージャーを紡ぐ会の初代会長です
1年前の4月29日に亡くなった宮崎さん
表現の仕方は全く違うし
谷口さんのようなきつい言い方はしない人でしたが
同じ要素を感じるというか
本質は一緒だな、なんて講演会でも懇親会でも
思っていたんですよね
そしてあの日、懇親会の最後に
「ダサいな」という発言を聞かされ
「確かにそうだよな…」って
結局みんないいことやきれいごとは言うんだよなって
でも自分にできることを何か一つでも
やってるのかって
谷口さんには、そういうごまかしながら話すのを
完全に見透かされてるんですよね
それで私も思ったんです
初めて立候補した時は
自分の全パワーを使って介護を良くしたいと
思っていましたが
その後の自分を考えてみたとき
私、ごまかしながら仕事してなかったかなって
やっぱり私、ダサいなって
そんなことがあった懇親会の次の日
普段開けない本棚を整理してたら
一冊の本が出てきたんです
タイトルは『託す』
亡くなった後に届いた
宮崎さんが最後に残してくれた本でした
宮崎さんが亡くなったことを認めたくなくて
その本が届いたとき
実はちゃんと読むことができなかったんです
だけど、今やっと読むことができて
そこにはすごく大切なことが書いてありました
「この国は少しだけ間違ってしまった
無関心なくせに不寛容で
この国の将来についても、他責な上に他人事で」
これって講演の日、谷口さんが言っていたことと
同じだなって思ったんです
そして本の最後にはこんなことも書いてありました
「何があっても行動は止めないでください」
「がむしゃらに動ける世代は動いてください」
「体力的に厳しい世代は
応援という行動をとってください」
「政治と向き合ってください」
「愚痴だけ言っても何もならないことを
理解してください」
「自分たちの価値を高める行動をとってください」
「みんな仲間です 助け合ってください」
亡くなって一年の命日というタイミングで
谷口さんの講演をきっかけに
このメッセージに向き合うことができたんですよね

「良い」は「最高」の敵
そして、谷口さんが言っていたのが
「良い」は「最高」の敵だということ
最悪な状況なら、何とかしようと必死になる
でも、そこそこ良いって状態に甘えたら
もう上を目指さなくなる
だから「良い」は「最高」に対する敵なんだって
一人一人ができることって
もっともっとあると思うんですよね
例えば
介護職も、介護を受ける人のことも
介護をする家族のことも
それを救える可能性があるのが私たち介護職であり
ケアマネージャーの知識を持つ人間
さらには産業ケアマネという資格を
持つ人間なんですよね
でも本当に行動してるのか
今一度、考える必要があるって思ったんです
介護のこと、介護職の処遇改善のこと
今は無関心でいられても
無関係ではいられない日が、絶対にくる
自分たちの世代が介護を受ける立場になったとき
介護保険制度が存続しているのか
介護をする人が日本にいるのか
だから今、自分にできること
例えば
制度を変えるための政治家は誰なのか
そのために選挙に参加しているか
選挙に行くために情報を得ているか
その情報は正しいのか
その上で自分はどう考えるのか
それを口に出して言うこと
そして具体的な行動の一歩を
踏み出すことが大切なんです
谷口さんと宮崎さんのメッセージが重なるのは
「沈黙することは容認しているのと一緒」ということ
無言ということ自体に責任があるんですよね
最後に
今回の谷口さんの講演で、懇親会での一言で
大事なことに気づかされ
刺激を受ける機会となりました
もう一度心にガソリンが入ったような
そういう時間でした
宮崎さんが亡くなって一年の命日というタイミングに
こんな出来事があるというのも
宮崎さんのなせる技なのかもしれませんね
できない言い訳はいくらでもできる
できることからまずやってみよう!
「ダサい」って言われるのは
やっぱり悔しいですからね
今回の出来事を通じて
谷口さんには本当に感謝しています
火をつけられたこの心を、絶対に消さない
今ここから、自分の行動で未来を変えていく
そんな覚悟を、私は持ち続けたいと思います
