障害者雇用とコルディアーレ農園の話
先日、九州の福岡に視察に行ってきました
訪れたのは
障害者の課題解決に取り組んでいる
「コルディアーレ農園」
今回はこの農園の取り組みについて
障害者雇用の現状や課題にも触れながらお伝えします
企業がコルディアーレ農園と連携することで
障害者雇用の課題解決を図れるという仕組みについて
まずは、どんな課題があって
どんな取り組みがされているのか
知ってもらえたら嬉しいです
コルディアーレ農園とはどんなところ?
コルディアーレ農園は
障害者雇用に力を入れている農業の職場を
提供している場所です
ちなみに「コルディアーレ」とはイタリア語で
「心のこもった」という意味なんだそう
地方に住む障害者の方々は
都市部に比べて雇用の機会が少ない現状があります
この農園は、そういった方々に
働く場を提供することを目的に運営されているんです
背景には「障害者雇用促進法」があります
従業員が101人以上いる企業には
一定割合の障害者を雇用する義務があり
現在その割合は2.5%
令和8年には2.7%へ引き上げられる予定で
企業側も障害者側もさまざまな課題に
直面しているんです
地方と都市部で大きく違う障害者雇用の現実
障害者雇用をめぐっては
都市部と地方で大きな格差があります
都市部
つまり東京・大阪・神奈川・愛知といった地域に
全国の障害者雇用義務のある企業の約40%が集中
一方、地方では「働きたい」と思っても職場がなく
働けないという状況が多いんです
働きたくても選択肢がないため
A型就労支援に通ったり
家にいるしかない方も少なくありません
都市部では職場の数は多いものの
企業側が障害者が働きやすい環境づくりを
自社で整えるのは難しいという現状もあります
また、一部の企業では雇用義務を果たす代わりに
「納付金」を支払って解決するケースもあります
コルディアーレ農園は
こうした地方の雇用機会不足と
都市部企業の課題を橋渡しする
取り組みをしているんです
コルディアーレ農園の仕組みと環境
皆様は農園にどんなイメージを持たれますか?
農園と聞くと「屋外で作業」とか
なかなか厳しい環境じゃないかという
イメージかもしれませんが
ここは違います
清潔で明るくて雰囲気がとても良い職場で
大型店舗跡を利用した、室内型の水耕栽培施設なんです
ユニクロや西松屋、TSUTAYAのような店舗を
イメージされると
わかりやすいかと思いますが
天井が高い店舗跡を使っており
広々とした空間に水耕栽培設備が並んでいました
ここでは農園を区画ごとに企業にレンタルし
企業が直接障害者を雇用する形をとっています
今日視察したところでは72区画あり
それぞれ違う企業のスペースになっていて
その企業の看板や装飾があり
エプロンの色も違えば
栽培している作物も違っていました
また、3人の障害者に対して
1人の管理者(健常者)がつき
4人1組で働きます
管理者にはコルディアーレ農園専属の
精神科経験のある看護師がサポートにつき
ミーティングや研修を通じてフォローを行っています
薬の管理や医師、家族、グループホームとの連携も行い
障害者の方が安心して働ける環境を
しっかり整えているんです
社会課題の解決と企業ブランディング
現在、全国の約200社が
コルディアーレ農園と提携しており
九州では22カ所に展開されています
そのうち2カ所だけが屋外農園で
ほとんどが室内水耕栽培型
施設はおしゃれで、音楽も流れる明るい職場でした
1区画あたり月100万円ほどのコストがかかるため
正直なところ納付金を支払う方が企業側にとっては
安上がりなのは事実
それでもあえてコストをかけ
障害者雇用に取り組む企業が多いのは
単なる義務の達成ではなく
自社のブランディングにもつながるからなんですよね
近年は、身体障害者の方だけでなく
精神障害者の方も
非常に多くなっているということもあり
障害者雇用においては
定着率が低くなってしまうという問題や
職場の理解や配慮不足といった問題もあります
中小企業ではなかなか難しい部分もありますが
こうした社会課題があることを知り
大企業からでも取り組みが広がっていくことが
大切だと感じました
最後に
今回は、皆さんにもこうした社会課題のことを
少しでも知っていただきたくて
福岡のコルディアーレ農園の視察について
お伝えしました
障害者雇用の課題はまだまだたくさんありますが
民間主導でこうした取り組みが進んでいることに
大きな希望を感じました
私自身も学びを深めながら
これからもこうした現場に
目を向けていきたいと思います