一般社団法人リョウリツ 本日設立

仕事と介護の両立支援
なぜ介護をする家族支援が必要かについて
自分の経験から書きます

31歳の時 母の介護と育児ダブルケア

もう20年近く前のことです
私の子供が2歳と4歳の時
突然母が脳梗塞で倒れ
全身麻痺の状態となりました


糖尿病から敗血症となり
心臓弁膜症も併発して心不全状態で
人工呼吸器を装着しての入院生活


毎日子供2人を連れて
岡崎から名古屋まで片道1時間をかけて
病院に通いました


土日は丸一日病院で過ごし
平日は子供が幼稚園に行っている間
又は 私のパートがある時は
幼稚園が終わってから2人の子供を連れて
毎日名古屋へ行きました



病院へ行ったところで
母は人工呼吸器をつけているので
常に眠っており 話をするわけでもない



しかし 行かずにはいられなかった



何をしていても常に母のことが頭にある
美味しいご飯を食べても
面白いテレビを観ても
いつも心から楽しめていなかった



何もできないけど
とりあえず母のところに行き
ベッドサイドで時を過ごす



家に帰れば 朝掃除もできていないままの状態の我が家
子供たちはお腹が空いたと騒ぐ
夫は文句こそ言わないけど
家の状態に不満が爆発寸前の表情




当時のことをこうして書いているだけで
胸が詰まってくる
泣くのを堪えていた当時の気持ちが蘇る





母は4ヶ月の闘病の後
痰を喉に詰まらせて亡くなる
もしあのまま在宅介護に突入していたら
私の家庭は崩壊していたかもしれない




今冷静にあの時を思い出すと
本当に危険な精神状態だったと思います




”私だけ”の話を聞いてくれる存在がいなかった

20年前の私の周りに介護を経験した人はおらず
相談をする人がいなかった



人工呼吸器での入院だったので
毎月の病院からの請求書は100万円を超えていた
高額療養費のことなど知らなかったから
その請求書を手にして途方に暮れてしまったこともあった
(後日 制度のことが分かりました)



入院している看護師さん
病院の相談員さん
母のことは相談するが
介護する家族の気持ちまでは聞いてもらえない




夫と話すと家事の分担の話になる
そうするとお互いに喧嘩になる
夫だって自分の仕事がある




夫の親はとてもいい人たちですが
「それはうちの問題じゃないから」
と言われてしまい子供を預けることができなかった




本音を言えば 全てを投げ捨てて
どこかに逃げていきたい気持ちだった
どうしたらいいか分からなかった



今から思えば
ただただ ”私の話”を聞いて欲しかったのだと思う



当時 出会いたかったケアマネジャーになろう
私はその思いで 介護の仕事を志し
ケアマネジャーになり仕事をしたが



しかし ケアマネジャーになっても
介護家族だけの話を聞いていられない
それでは介護報酬はいただけないからだ




半年間ただひたすら介護家族の話を聞いた経験

ケアマネジャーは利用者本人が入院中は
介護報酬が発生しない



かつてある介護家族の娘さんがいた
「母親が入院したので面会に来てほしい 。」



その娘さんは 1時間ひたすら自分の話をしてくれた
「前田さん 来月も来てくれる?」


その娘さんは入院中は報酬が発生しないことを知らない
しかし私は「いいですよ。」と言って
次の月も病院に行き話を聞いた



ただひたすら娘さんの話を聞いた
介護をしてきて自分が感じたこと
夫にこんなことを言われた
姑がこんなことを言ってきた過去
かわいいお孫さんの話など・・・


毎月1回そんな風にして話を聞いた


ある時娘さんが
「前田さん これってボランティアで来てくれてるの?」
と聞かれ
「そうですよ。」と答えると
「知らなかったわ。ごめんなさい。」


それを最後に毎月お会いすることはなくなった



しかし その半年間
月に一回病院の廊下のベンチで
娘さんと隣合わせに座り
ただお話を聞くという時間を過ごし
徐々に娘さんの心が元気になっていくのが分かった



介護をする家族の話をただ聞くこと
たったそれだけのことで
家族は心の元気を取り戻していくということが
分かった経験だった


シャンパンタワーの法則

介護をする人が幸せでなければ
介護を受ける人にいい介護は提供できない



いつもこのことをシャンパンタワーの法則でお伝えします


1番上のグラスを自分
2段目のグラスを家族
3段目のグラスを仕事の同僚や友達
4段目のグラスをお客様や地域の人々

に見立てます。

一番上のグラスからシャンパンが注がれます。

一番上のグラスが一杯になるとあふれたシャンパンが2段目、3段目、4段目と順番に流れていきます。

これを見立てたシャンパンタワーに当てはめると、自分のグラスからあふれたエネルギーが2段目に注がれ、2段目からあふれたエネルギーが3段目、4段目のグラスに注がれることによってすべてのグラスが満たされることになります。

つまり、自分のグラスをエネルギーで満たすことで、周りにもエネルギーを与えることができるということです。

ここであなたの場合を考えてみてください。

シャンパンタワー全体を人間関係として捉えたとき、あなたはどの段のグラスからエネルギーを注いでいるでしょうか?

もしあなたが母親であれば、2段目の家族のグラスからエネルギーを注いでいるのではないでしょうか?

会社で責任のある立場の人であれば、4段目のお客様や地域の人々のグラスからエネルギーを注いでいるかもしれません。

そうすると、一番上の自分のグラスはずっと空のままです。

自分のグラスがずっと空の状態だとどんなことになるのか?

人は、自分のグラスが空だと、他人からエネルギーを奪いたくなるのです。

誰かに何かをしてあげたことで、相手から思ったような反応が得られないと

「こんなにしてあげたのに!」

という気持ちになってしまいます。



相手から見返りを求めるようになるのです。

心に余裕がないので、周りの人に笑顔で接することもできません。

本当に相手のためになることがなかなかできないと思います。

自分が満たされていれば、人に優しくでき、余裕を持って接することができます。

相手から何も返ってこなくても気にならなくなります。

誰かに何かを与える時、自分が満たされていないと本当の意味で与えることができません。

自分の心を満たすことは、すべてにおいて大事なことなのです。

出典:マツダミヒロ「魔法の質問」より



まず介護をする人の心が満たされること
体が疲れているならしっかり休息すること



まず最初に大切にしなくてはいけないのは
自分の心と体なのです




一般社団法人リョウリツ設立へのおもい

仕事を頑張っている現役世代
親は介護が必要となってくる年代です



私は産業ケアマネとして
これまで様々な発信をしてきましたが
介護だけでは足りないかもしれない



仕事と介護の両立支援
仕事と育児の両立支援
仕事と療養の両立支援



職業生活と家庭生活の両立支援は
国策としても大変重要なテーマです



仕事との様々な両立支援をお手伝いする
企業と専門家を繋ぐため
一般社団法人リョウリツを設立します



この活動は私だけではできません
今後この活動がどんどん広がっていくために



特定行政書士 澤田隼人さんと共に
今回 一般社団法人の立ち上げをしました



理事として公認会計士で税理士の畑中外茂栄さん
理事として株式会社WEBDEA 里中研二さん
をお迎えしての始動となります



彼ら 自分より若い世代の方の力をお借りして
企業で働くビジネスパーソンを応援していきます



今後は産業ケアマネの仲間の力を借りながら
育児と仕事の両立支援
療養と仕事の両立支援など



ビジネスパーソンが抱える様々な両立支援を
専門家の視点からお支えしていきたいと考えています




働く現役世代が元気でなければ
この国の元気を取り戻せない
まずは自分自身を満たしていくことから始める



仕事との両立支援のために一般社団法人を作り
今後様々な活動をしていくことにしました



一般社団法人リョウリツ
本日設立となります
よろしくお願いいたします



一般社団法人リョウリツ
代表理事 前田れいこ